
シアの実を収穫するブルキナファソの女性たち。地上に落ちた実だけを収穫。森に出入りする機会の多い女性達は、不法伐採や野火の防止でも活躍しています。
「ブルキナファソ」という国を、ご存じですか?
アフリカ西部の内陸部に位置しており、インフラ整備がなかなか進まず、まだまだ貧しい国のひとつです。しかし、すぐれた保湿効果で話題の「シアバター」の産地として、少しずつ知られるようになってきています。
今回ご紹介する森重裕子さんは、ブルキナファソで生産したシアバター加工品を輸入・販売している会社の代表ですが、その活動は、通常の輸入業務にとどまりません。
「私たちの活動は、ブルキナファソの女性たちが作ったシアバター加工品を買い取ることで、女性が自立して生きていくための収入と技術、そして未来への夢と選択肢を持ってもらうことなんです」とのこと。つまり女性支援活動とフェアトレード(※)の一環ですね。
そのために厳しい品質管理も求めているのだとか。「シアバターの出来栄えをAからDにランク分けして、それぞれに応じた金額で買い取っています。Aランクのみが日本向け製品用となり、Dランクは買いません。
『かわいそうだから買い取ってあげよう』という"慈善"ではダメなのです。私たちの最終目標は、ブルキナファソの女性たちにシアバターの加工品生産をビジネスとして成り立たせ、生活を安定させることにあります」。
※フェアトレード
発展途上国の農産物や製品を、適正な価格で継続的に購入することで、途上国の自立や環境保全を支援する取り組み。
森重さんを、ブルキナファソの女性支援にひきつけたものは何だったのでしょうか。
「大学の卒業旅行でネパールに1ヶ月ほど行った時に、ストリートチルドレンや人身売買の実態などを見ていろいろ考えさせられました。その後モヤモヤしながらも就職したのですが、結核になってしまい長期入院したんです」。
約1年の休職中、本当にやりたいことを考えた結果退職して大学院へ。その後、青年海外協力隊に応募したところ、派遣されたのはブルキナファソでした。
「ネパールに行きたかったから、『そこってアフリカ!?えっ私が?』という感じで(笑)。迷っていた時、『アフリカで2年(赴任期間)も活躍できる人は、世界でもそういない。これはきっとチャンス!』と尊敬するネパールの女性から言われ、覚悟を決めました」。
ブルキナファソでは、女性は子どもの頃から教育や医療へのアクセスが限られていることが多いそうです。そのため女性が健全に生きていくための手段が必要と痛感し、目を付けたのが、ブルキナファソならではの「シアバター」で生活の糧を得るということ。
「それまでこの国では原料を安く輸出し、加工は他国で行うことが多かったのですが、加工を国内の女性の手で行うことで、加工費を稼いで自立できるようにと考えたのです」。

伝統的なリズムにのって、シアの実をつぶしています。ア・ダンセのシアバターづくりは、1000人以上の女性たちの手作業で丁寧に進められます。

シアバター石鹸の製造については研修を重ね、衛生管理の意識を徹底。目指すのはもちろん、世界標準のクォリティ・コントロール!

シアバター石鹸など、加工製品を前にした森重さん。これら加工品が、ブルキナファソの女性の生活の糧になっています。
最後にア・ダンセの今後の活動や思いについて、森重さんに語ってもらいました。
「日本の人とブルキナファソの人たちを近づけるようなことができれば。今は、ビデオやネットもありますし、これから日本のお客さまとブルキナファソの生産者がふれあえるような機会を作りたいですね。そして、新たにシアバター以外の非木材林産物・・・バオバブのオイルだとか、いい香りのするお花とかを使った、香りにこだわった製品を考えています。日本でも自然志向が高まっていますから、日本の方にもっとブルキナファソの自然を生かした製品を使ってもらえるようにしたいんです」。
「ブルキナファソの良いところは、よく挨拶をしあうこと。家族や仲間を大切にします。だから、ものをよく分けあう。何か食べていると、みんなに『食べる?』とたずねるのが礼儀・・・というか普通なんです。こういう気持ちは、今の日本人も見習いたいですね」。
また森重さんは、ブルキナファソ女性の自立支援のほか、大切な森林資源であり生活の糧となるシアバターノキの植林など、森林保全活動にも力を入れているそうです。
シアバターをはじめとする自然からの賜物を通じて、二つの国の人々の気持ちがつながり、それぞれが心豊かな暮らしを送っていく・・・森重さんは、そんな夢を実現させるため、この仕事にまい進しています。













