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「燃料費調整制度って何?
――電気料金の『値下げ・値上げ』と『値下がり・値上がり』」

2008.03.15
関西電力お客さま本部料金企画グループの山下誠マネジャー



関西電力お客さま本部料金企画グループ
マネジャー 山下誠

市場の動きや為替レートにより変動する火力発電用の燃料(原油・LNG・石炭)価格。燃料価格の変動に応じて、電気やガスの料金は3カ月ごとに「燃料費調整制度」に基づく調整が行われている。そのしくみや導入の経緯、通常の料金改定との違いは何か?──関西電力お客さま本部料金企画グループの山下誠マネジャーに訊いた。

――そもそも「燃料費調整制度」とは? ●○●
電力会社が火力発電の燃料として使用している原油・LNG・石炭の価格は、為替レートや市場の需給動向によって頻繁に変動する。この変動に応じて、一定の基準により電気料金を自動的に調整するしくみが燃料費調整制度だ。1996年1月、通商産業省(当時)の諮問機関である電気事業審議会での検討等を受けて導入されたもので、目的は二つ。ひとつは、燃料価格の変動を速やかに電気料金に反映させること。当時は円高で、原油価格水準も低く、「円高差益還元」という形での料金の暫定引下げを行っていたという背景もあり、制度化によりできるだけ迅速に料金に反映させようというものだ。二つ目は、電力会社の経営効率化成果を明確にすること。電力自由化時代を迎え、一層の経営効率化が求められるなか、経営努力が及ばない燃料価格を「外部化」することで、効率化の成果をはっきりさせる狙いがあった。

――「燃料費調整制度」と「料金改定」は違うのか? ●○●
料金改定は、燃料費だけでなく、発電所や送電設備のコスト、人件費など、すべての諸費用を算出し、さらに我々の効率化努力を織り込んだうえで、お客さまに料金値下げという形で還元できると判断したとき、あるいは値上げの必要性を判断したとき行うもの。直近の改定は2006年4月だが、2年ごと、3年ごとといった期間が決まっているわけではなく、あくまで経営判断に基づいて、しかるべき局面で実施しており、1980年より後、一貫して値下げ改定となっている。
一方の燃料費調整は、経済情勢等によって変動する燃料価格を、定期的・自動的に料金に反映させる制度。その結果、上がることも下がることもあるし、変わらないこともあるが、外部要因に基づくものであり、電力会社にとっては、いわば制度的、受動的な調整。料金改定が「値上げ・値下げ」とすれば、燃料費調整は「値上がり・値下がり」という感じだ。

燃料費調整のしくみ
燃料費調整のしくみ

――具体的な燃料費調整のしくみは? ●○●
まず料金改定時に、今後の基準となる燃料価格「基準燃料価格」を決め、これと四半期ごとの原油・LNG・石炭価格をもとに算出した「平均燃料価格」の差額を計算して、半年後の電気料金に反映させるという形だ。例えば現在の基準――20,700円/klは、06年4月の改定時に設定したもので、それと比べて四半期ごとの平均燃料価格が+5%超の場合はプラス調整、−5%超の場合はマイナス調整を行うが、±5%以内の場合──現在の基準でいえば19,700円/klから21,700円/klの場合は調整を行わない。これは電気のような公共料金が、小幅で頻繁な変動をするのは好ましくないとの考えからだ。また、いくら燃料価格は電力会社のコントロール外とはいえ、大幅な価格上昇を全てお客さまに転嫁することは影響も大きくなるため、プラス調整は基準価格の1.5倍(31,100円/kl)まで、と上限を定めている。逆にマイナスの場合は下限を定めず、下がった分だけお客さまに還元する。

――平均燃料価格はどのように算出する? ●○●
財務省が毎月発表している「日本貿易統計」をもとに、まず原油・LNG・石炭の平均価格(通関統計価格)をそれぞれ算定し、次にこれをすべて原油価格に換算する。これは単位も熱量も異なる各燃料を、ひとつの物差しで測るためだ。この値に、火力発電の燃料別構成比率――火力発電に使う燃料のうち原油・LNG・石炭が占める割合を加味して、平均燃料価格を割り出している。燃料別構成比率は電力会社によって異なっている。

――ということは、電力会社によって調整額は違う? ●○●
違う。例えば関西電力の火力発電はLNGと石炭の比率が高いが、石油火力が多い電力会社もある。もちろん、燃料の種類によって価格変動は異なるので、火力燃料として使用する原油、LNG、石炭の比率によって燃料費調整の上げ幅もしくは下げ幅は異なる。

――もともと火力発電比率が低い場合も調整額は違ってくるのでは? ●○●
燃料費調整額は火力燃料の変動によるものだから、原子力や水力など火力以外の電源比率によっても違ってくる。水力発電や原子力発電の燃料費は燃料費調整制度の対象外とされているため、水力や原子力の比率が高く火力の比率が低いほど、燃料費調整による料金の振れ幅も小さくなる。関西電力は原子力の比率が高いため、プラス調整時もお客さまに負担していただく料金への影響は少ない。但しそれは値下がり局面での恩恵は小さくなるということでもあり、一概にどちらが良いとはいえないが、最近のような原油高騰の状況下においてはメリットが大きい。例えば07年10月から12月の関西電力の平均燃料価格は26,700円/klと、基準価格の約1.3倍に上昇。もちろん他社も上がっており、その結果、今年4月から6月の電気料金は各電力会社とも値上がりしているが、関西電力の場合、値上がり幅は比較的小さく抑えられている。

――自然エネルギーなども同様のことが言える? ●○●
量は少ないが、その通り。また、我々は、太陽光や風力などの自然エネルギーについて発電時にCO2を排出しないという面でも高い評価をしている。ただ、現状では、発電コストも高く、出力が安定しないといった課題もある。やはり原子力や火力、水力があって、その上で自然エネルギーも必要ということ。それがベストミックス。

――電気料金に反映されるのが半年後になるのはなぜ? ●○●
四半期ごとに調整することにしているからだ。つまり、ある四半期の通関統計実績が財務省から発表されたあと、調整額を算定するわけだから、どうしても反映は次の四半期でなく、翌々四半期つまり半年後ということになってしまう。

――では今後、電気料金に関してはどう取り組む? ●○●
90年代には原油価格は1バレル当たり20ドル前後だったが、現在の基準価格を決めた06年の原油価格は57ドルで、今や90ドルを超えている。残念ながら、燃料価格ばかりは予測が難しく、電力会社個々の努力も及ばない領域。だから我々としては、火力燃料の影響も踏まえ、どれだけ安定的な電気料金を実現するか。それには原子力発電による安定した電力供給が必須だと考えている。さらに、お客さまに対して、燃料費調整制度とはどういうものなのか──特に我々の経営努力の成果として行う料金改定とは別個のものであり、効率化は効率化としてしっかり進めていることを折にふれてきちんとご説明し、お客さまにご理解いただけるよう、取り組んでいきたい。 ■

関西電力の電気料金の推移(1カ月あたり)
関西電力の電気料金の推移(1カ月あたり)

燃料費調整制度について>> http://www.kepco.co.jp/ryoukin/seido/index.html



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