布一枚で形を問わず包める風呂敷は、何度も繰り返して使えることから、環境にやさしいアイテムとしても注目されています。しかも、ただ包むだけでなく、結び方次第で風呂敷がいろいろな形に大変身、用途も広がります。
今回は、風呂敷の歴史や文様の魅力をひもときながら、アイデアあふれる使い方についてご紹介します。
大昔から人は、わら、笹の葉、竹の皮、紙など、自然素材や身近なものでものを包み、運搬や貯蔵を行ってきました。もともとは「つつみ」や「包みもの」と呼ばれていた風呂敷。「包みもの」が「風呂」と関わるようになったのには、いくつかの変遷があります。
室町時代までは風呂といえば蒸気浴で、床にむしろや布を敷いて入浴していていました。その敷物の状態から、「包みもの」のことを「風呂の敷物のような包みもの」と表現するようになったといわれます。その後、江戸時代に入り、今でいう銭湯が登場。風呂用具を「風呂の敷物のような包みもの」で包んで銭湯へ通う人が多くなり、その四角い「包みもの」自体を「風呂敷」と呼ぶようになったといわれています。
布が普及し、染色の生産効率が向上するにつれ、多彩な文様表現が生まれました。風呂敷の代表的な文様のいくつかをご紹介しましょう。

矢羽根模様になるように織りだした絣(矢筈絣=やはずかすり)から生まれた文様。もともとは織物模様でしたが、染めの柄としても取り入れられ、一般化しています。着物では、女子学生のはかま姿などでもおなじみの柄です。

四方八方にどこまでも伸びゆく蔓草が生命力の強さや繁栄を象徴し、古代より世界各地で用いられてきました。日本でも吉祥柄とされ、江戸時代には家紋と組み合わせたり、今も婚礼荷物に掛けられる油単(ゆたん=家具の覆い)などによく使われています。

正六角形を基本とした連続文様で、大麻(おおあさ)の葉に似ていることから、麻型または、麻の葉型と呼ばれます。麻は丈夫で真っ直ぐに育つことから、子どもの産着やお祝い事などにもよく使用されています。

瓢箪一個の実から取れた種子をまけば、次の年には百個にもなることから、「子孫万代」を願う吉祥文様とされてきました。また、瓢箪の空洞には神霊が宿るという考えからお守りとして、小さい瓢箪や瓢箪をかたどった布きれを子どもに身に着けさせる習わしがあります。

菊は秋のモチーフであると同時に、延命長寿への願いを表しています。これは、九月九日の重陽(ちょうよう)の節句に菊を浸した酒を飲み、長寿を祝う風習にちなみます。使用にふさわしい季節は秋。また、年長者への長寿祝いにも適した柄です。

熨斗(のし)は熨斗鮑(のしあわび)の略で、アワビの肉を薄く引き伸ばしたものをいいます。祝儀の贈り物に熨斗鮑を添える習わしがあったところから、祝いの象徴として、婚礼の衣装文様や袱紗(ふくさ)・などにもよく使われます。
資料・写真提供/宮井株式会社
風呂敷は、丸いもの、細長いもの、大きなもの、小さなものなど、中身に合わせて自在に包むことができます。
今回は、子どもたちに風呂敷を活用した出前授業を行っている「財団法人千里文化財団」に、風呂敷の意外な使い方を紹介していただきました。遊びゴコロ満載の活用術、ご家庭でもお子さんと一緒に試してみてはいかがでしょうか。
ほどけにくく、長持ちする結び方です。

風呂敷/70センチメートル幅(より大きなサイズでも可)
- 風呂敷を正方形に広げ、柄が内側になるよう、対角線で2つ折りにします。
- A、Bをそれぞれ、ひとつ結びにします。
- Cを広げ、柄が表になるように裏返しにします。
- Cを真結びにすれば、できあがりです。


風呂敷/45センチメートル幅
- 風呂敷を裏が上になるよう正方形に広げ、中央にティッシュケースをたてに置きます。
- 風呂敷の手前と向こう側を折り返します。
- 風呂敷の手前の角2つを真結びします。
- 反対側の角2つも同じように真結びします。
- 形を整えれば、できあがりです。
風呂敷/45センチメートル幅
- バッグの持ち手内側に風呂敷の1辺を通します。
- 左上の角と左下の角を真結びします。
- 右上の角と右下の角を真結びします。
- 形を整えれば、できあがりです。
※ バッグの持ち手の代わりにベルト通しに風呂敷を通せば、同じ結び方でウェストポーチも作れます。


千里文化財団が行う風呂敷の出前授業では、地域の子どもたちに風呂敷を通して日本の伝統文化を伝えるとともに、エコな道具として紹介することで、身近な環境問題を考えるきっかけになっています。さまざまな使い方ができる一枚の布の魅力に、子どもたちも夢中の様子。保護者の方や先生方からも楽しい講義と、好評を得ているそうです。
関西電力では、地域や生活に密着した事業主として、さまざまな地域共生・社会貢献活動を展開しています。次世代を担う子どもたちに向けては、エネルギーと環境の大切さを伝える出前授業のほか、職場体験の受け入れ、親子エネルギースクールの実施などを通して、地域社会の発展へ積極的に貢献しています。
宮井株式会社
明治34年(1901年)創業。風呂敷の普及と風呂敷文化の復興に努める京都の老舗店です。ふくさ・風呂敷の製造卸から、企画・商品製作まで対応しています。京都烏丸、東京人形町、名古屋錦にある同社の店舗「唐草屋」では、包み方のレクチャーもしています。
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財団法人千里文化財団 小林万里絵さん

千里文化財団は、財団法人民族学振興会の千里事務局を母体として1983年に設立。現在、国立民族学博物館に蓄積された資産(人・モノ・情報)を活用した事業を展開しています。2002年に国立民族学博物館で開催された「世界大風呂式展」をきっかけに、風呂敷を活用した出前授業を行うようになりました。「日本では風呂敷の柄や包み方を通して、贈る相手に心を伝えるという伝統を育んできました。最近はエコな観点からも注目されています。包み方の活用術は一例ですので、自分流にアレンジして、楽しんで使ってください
」
今回しずく型バッグで使用した「みんぱくオリジナル風呂敷」(1680円)は、国立民族学博物館ミュージアムショップで手に入ります。
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