
日ごろなにげなく見過ごしている石や岩。じっくり観察すると、さまざまな色や形の鉱物で構成されていることがわかります。山や海辺、川原など場所によって見つかるものもいろいろ、時には化石を発見することもあって、気分はちょっとした宝探しです。今回は、いつもとはひとあじ違う自然観察の楽しみをご紹介します。
昆虫や植物の観察には季節を選びますが、岩石・鉱物は一年中楽しめます。観察には山や川原へ出かけるので、事前の準備で、観察がさらに安全で充実したものになります。

- ハンマー・たがね…岩や石を割るときに使います。
- ルーペ…採集した岩石を観察します。(倍率は8~10倍)
- ティッシュまたは綿…壊れやすい標本を包みます。
- ビニール袋・ふたの閉まる小さな容器…標本を入れて持ち帰ります。
- フィールドノート・筆記用具…採集した標本に関するデータを記録します。色鉛筆や、標本に番号を付けるためのフェルトペンもあると便利です。
- デジカメ…あれば現場の記録などができ、便利です。
- 帽子・ヘルメット…上から落ちてきた石などから頭を保護します。
- 軍手…岩石を割るときに手を保護します。
- 靴…トレッキングシューズなど、歩きやすいものにしましょう。スニーカーでも可。
- 服装…動きやすく、汚れてもいいものにします。
- 雨具…万一に備えます。
- ゴーグル…岩石を割るときに目を保護します。
川原は上流からさまざまな石が流れてくるので、いろいろな種類の岩石を観察するのに向いています。 自然の川原が残っているところなら観察できますが、ある程度の大きさの石を観察するには、やや上流が適しています。
大阪周辺であれば、大和川の支流の石川や、京都・加茂町の木津川、高槻市の芥川・摂津峡、和歌山県の紀ノ川の橋本市あたりなどがおすすめ。特に紀ノ川は異なる2種類の地質体の間を流れているため、岩石の種類が多く、含まれている鉱物も多彩なものが見られます。

アンモナイトの化石
(大阪府・泉南市)
化石は一つの山の中でも特定の地層に限られるなど、見つかる場所が限られています。自然史関連のガイドブックなどで場所を確認して出かけましょう。
おすすめ参考図書
『関西自然史ハイキング』
地学団体研究会大阪支部/編著(創元社)
『兵庫自然史ハイキング』
地学団体研究会大阪支部(神戸班)/編著(創元社)
『楽しい化石採集』 若一光司/著(松籟社)
岩石・鉱物観察の基本はアウトドアと同じです。マナー、エチケットを守って気持ちよく観察を楽しみましょう。
- ゴミは持ち帰りましょう。
- 指定の場所以外では火をおこさないようにしましょう。
- 天候が悪化しそうな場合はすぐに引き揚げます。
- 土砂や化石の採集が禁止されている場所、天然記念物に指定されているところでの採集は慎みましょう。
- 崩れやすいガケなど、危険な場所は避けましょう。
- 立ち入り禁止区域には入らない。
- 氏神様の山には入らないなど、地元のルールを守るようにしましょう。
- 採集した岩石は必ず標本にしましょう。
まずは、岩石や鉱物に関心を持つことが大切です。さらに、採集した岩石や化石をきちんと整理して標本にし、種類を調べることで、より興味も深まります。

ザクロ石を含む岩石
(大阪府・柏原市)
最初は分類方法を決めて採集してみましょう。丸いものや平べったいものなど、石の形で分類したり、色で分類したり、ざらざらしたもの、すべすべしたものなど手触りで分類するなど、自分なりの基準を作って集めます。おもしろいと思った石があれば、なぜおもしろいのか考えてみましょう。
ガケから岩石を採集する場合は、外観を観察、記録したあと、ハンマーで表面の風化しているところを割り、内部の新しい部分を採集します。硬くてなかなか割れない場合は、たがねを使います。このとき、けがをしないように軍手やゴーグルを着用しましょう。
後で標本を作りやすいよう、採集した岩石には番号を振り、採集場所や日時、採集した人、そのとき気づいたことなどをフィールドノートに記録しておきます。採集した岩石は壊さないようビニール袋や、小さなものはふたの閉まる小さな容器などに入れます。
化石は生き物の遺骸や体の一部、足跡などが地層の中に保存されたものです。貝の化石であれば、放射状や同心円状の模様といった、生物の特徴が石の表面に現れています。そうした模様をよく知って化石を探してみましょう。自分が掘った跡が化石に見えることがありますが、化石は生き物の形をきちんと残しています。見間違えないよう注意しましょう。

菫青石(きんせいせき/京都市・大文字山)
花びらのような模様が見える
標本を持ち帰ったら、ルーペでじっくり眺めてみましょう。岩石なら中に含まれている粒を観察します。その粒がどんな形か、キラキラしているか、キラキラしていたらどんな色か、規則正しく並んでいるか、大きい粒や小さい粒があるか。化石なら、どんな形をしているか、模様はあるかなど、細かいところまでじっくり観察し、メモを作ってみましょう。
鉱物とは、原子が規則正しく並んだ自然の固体物質で、岩石は鉱物の粒が集まってできたものです。例えば、花こう岩は長石や石英、雲母などの鉱物の小さな結晶の粒が集まってできています。
岩石の標本にはそれぞれ採集した年月日とその日何番目の標本か分かるよう番号を付け、データを記録します。(例えば、2009年2月25日の3番目に採集した標本であれば、09022503や、090225‐03のように書きます)。さらに岩石の名前、標本を採集した場所(できるだけ詳しく)、採集した人、気づいた特徴などを盛り込みます。整理には専用の標本整理容器を使ったり、中に仕切りのある空き箱などを使ってもいいでしょう。
作った標本が不要になった場合は捨てたりせず、学校などに相談してみましょう。きちんとデータを残したものであれば、博物館で有用な標本になることもあります。小学生が新種の化石を発見することもあり、その場合にも標本のデータが役に立ちます。
採集した標本は、岩石図鑑などで種類を調べます。おすすめの参考書は『原色岩石図鑑』(益富寿之助/著・保育社)。図書館や博物館などでも閲覧することができます。岩石を見分けるのはなかなか難しく、数多くの岩石や鉱物の標本を見て、実際の石と比較するなど、経験の積み重ねが必要です。自分で調べてどうしても分からない場合は、学校の先生に相談したり、自然史系の博物館で尋ねたりしましょう。
岩石の種類は、でき方などの大きな分け方を知っておくと、理解しやすくなります。
- ・火成岩(かせいがん)
- 高温のマグマが冷えて固まった岩石です。地中深くか、地表近くで固まるかで組織が変わり、マグマの成分によって含まれる鉱物も変化します。代表的なものに墓石などに使われる花こう岩があります。
- ・堆積岩(たいせきがん)
- 川原や湖、海底などに土砂がたまってできた岩石です。生物の遺骸がたまってできるものもあります。石灰岩はサンゴ礁で炭酸カルシウム成分を持つ生物の遺骸が堆積したもので、しばしば化石が含まれています。
- ・変成岩(へんせいがん)
- すでにある岩石が地下深くで高い圧力を受けたり、マグマなどの熱を受けて組織や鉱物の組み合わせが変わったものを変成岩と呼びます。代表的なものに石灰岩が熱で変成した大理石があります。

都会のビルにはさまざまな石材が使われていて、岩石や鉱物、化石などを観察できる格好の場所になっています。例えば、大阪・梅田の地下街では、ディアモール大阪の柱に大理石、床の方位陣に蛇紋岩(じゃもんがん)※が使われています。マーケットストリートや円形広場の床などにはアンモナイトやサンゴなどの化石も見られます。そのほかにも、梅田ダイビルの地下1階広場、新阪急ビルの地下など、あちこちで化石を発見できます。
ベージュの石灰岩の中にアンモナイトやベレムナイトなどの化石を見ることができる。(梅田ダイビル地下1階広場)

緑色の壁は蛇紋岩。石の色や模様をじっくり観察できる。(大阪・西梅田方面の地下道ガーデンアヴェニュー)
また、ビルに使われている石材の中には細かな穴がたくさんあいているものや、見る角度によって輝きの変化する鉱物が入っているものもあります。お買い物ついでに観察してみると、ワクワクするような発見があるかもしれませんよ。
※緑がかった色の岩石で蛇の皮のような模様がある
岩石や鉱物は地球の営みが造りあげたものです。また、化石も何百万年、何千万年前にできたもの。観察することによって地球そのものや、さらには自分の住む場所についても興味がわいてきます。自然観察は「なぜだろう」「不思議だな」から始まります。岩石観察を通じて、お子さんが理科に関心を持つきっかけも生まれることでしょう。
関西電力は地域や生活に密着した事業者として、さまざまな活動を通して、地域コミュニティーの活性化に積極的に貢献しています。

「でんき塾」の様子
一例としては、次世代をになう子どもたちに身近な自然や環境、エネルギーに関心をもってもらおうと、関西電力社員が学校などへ出向いて授業を行う、出前教室を全社で展開しています。なかでも、南大阪営業所では近隣の小学校の4年生を対象に、1年を通して6回のカリキュラムで発電所見学会や工作教室などを行う「でんき塾」を11年にわたって実施しています。

滋賀電力所の稚魚放流体験
また、水力発電所がある滋賀電力所や東海支社では地元の漁業協同組合の協力のもと、地域の子どもたちによる川への稚魚放流体験を通して、水をとりまく環境についてふりかえるイベントを行っています。
そのほかにも清掃活動や植樹活動など、各支店・営業所で地域社会の発展に向けたさまざまな取組みを行っています。

大阪市立自然史博物館 地史研究室 学芸課長代理 川端清司さん
大阪市立自然史博物館は1950年設立の日本で2番目に古い自然史博物館です。1974年、現在の長居公園に移転。「自然の仕組み」「地球のおいたち」「人と自然の関わり」に関する展示のほか、自然観察会など年間200回にもおよぶ行事を開催しています。川端さんの専門である「地史」は、地球の歴史に関わる分野です。「一つの化石を見つけるという体験が、新しい発見につながります。岩石や鉱物に触れることが自然に親しんでもらうきっかけになればいいですね」と岩石観察の楽しみを話してくださいました。



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