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個人のお客さま 関西電力が考える 2003年E・家・くらし  > 1999住まいのアイデア部門
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1999年住まいのアイデア部門

優秀賞 田村 飛鳥

■テーマ…「Curtain house
     〜Electric porous house〜」
■協 力…法邑 悟
     (大阪工業大学 建築学科)


アイデアのコンセプト

内と外の関係が希薄になり生活が外在化している現代。その内と外のあいまいな関係を、カーテンという素材のもつ浮遊性と希薄性を活かし、うつろいやすい現代の都市生活を表出する。この家におけるカーテンは人間の衣服として還元される(表象行為)。また、それは人間の身体性を表出するものとなる。
ひとが季節により衣服をかえ、自分自身を装飾し、外界との関係を衣服によって関係づけるように、この“カーテンの家”は、外界との関係により被膜を脱ぎ変える。着せ替えHOUSEとして存在するカーテンの家は、現代住宅に代表される一律的で高気密なものではなく、多用で開放的な家を電化で目指す。


田村 飛鳥(大阪工業大学大学院 建築学科)

講 評

「カーテンの家」と題するこの作品では、“ひとが季節により衣服をかえ、自分自身を装飾し、外界との関係を衣服によって関係づけるように”(以上は作者の言葉)、電化カーテンが外界との関係により色、光や熱の透過性、配置、形状(広げる、縮む、重ねるなど)を自在に変え、家の外との関係、家の中の生活に適合する環境を創り出してゆく。これを作者は“着せ替えハウス”、“家自身を着飾る”など巧みな言葉で表現している。家を5X5、1辺2mのマトリックスに分割し、春夏秋冬の季節毎に、団欒、食事、就寝、休息、来客の場面でどのような機能のカーテンをどのように配置するかを詳細に示している。それはまるでパズルを解くようで、審査委員一同大いに頭を悩ませられた。大胆かつユニークなコンセプトを明確に打ち出しており、表現力も優れている。これからの才能の開花をおおいに期待したい。

審査委員長 鈴 木 胖
(摂南大学教授・大阪大学名誉教授・住宅電気利用技術懇話会会長)



佳 作  
    郡司  誠

■テーマ…「チャンネルハウステレビに
      映し出される新しい住宅」


アイデアのコンセプト

日本にも情報化社会の波が押し寄せ、テレビなどのメディアは個人のレベルまで浸透した。私達の提案する住宅はこのテレビを『電化』の製品として注目した。
透過性のある特殊ディスプレイのテレビを埋め込んだ大ガラスを仕切りに使い、住宅を分割する。しかし、ガラスの為、視線は通過する。そこで個人が持ち歩くリモコンでテレビのスイッチをONにし、視線を遮る。この場合、電化製品であるテレビは従来の情報を伝達する道具であると同時に住宅内での領域を形成するスクリーンにもなりうる。チャンネルを選択し、情報を映し出すスクリーンは好みを表す部屋のインテリアであり、エクステリアにもなる。


(芝浦工業大学 大学院 建設工学専攻)
郡  司 誠(芝浦工業大学 大学院 建設工学専攻)

講 評

映像と視覚文化の中で育った若者らしい現代的なアイデアであることが説得力となっている作品である。透過性のある特殊ディスプレイのテレビを埋め込んだガラスを間仕切りにして、家中を見通せるようにすることで家族のコミュニケ-ションをはかり、そこにリモコンで映像を写し出し、一方的に自らの姿を隠すことでプライバシ-を得るという発想には、視覚メディア中心の現代社会の歪みがうまく投影されており、仮想現実の世界とだぶってくる。若者にとって、視覚情報が住まいの認識の原点にあるという事実が鮮明に示されている点で興味深い。

審査委員 北浦 かほる
(大阪市立大学教授・居住空間デザイン学)



佳 作 小宮 歩
     大庭 由利江

■テーマ…「Electric Panel
     (エレクトリック パネル)」


アイデアのコンセプト

エレクトリック パネル(通称エレパネ)は、電気によって形を変える不思議なパネルである。コンセントをつなぎ、電気を流すとパネルの中にある感熱線が熱くなり、エレパネは変形可能となる。コンセントを抜くと堅くなり、思い思いの形がつくり出せるようになる。パネルの中には、発熱体もあり、常に一定の温度に保たれるようにする。
エレパネによって、自分の目的、用途に合った衣服や家具、空間更にはライフスタイルまでつくり出せる。電気と一枚のパネルの可能性を問う作品である。


小宮 歩   (東京理科大学 工学部 建築学科)
大庭 由利江(東京理科大学 工学部 建築学科)

講 評

太陽熱と電気を流すことで、形を自由自在に変形させる、エレクトリックパネル(エレパネ)と題されたこの作品は、熱による形状記憶を使ったごく単純なアイデアによるものだが、近い将来には出現しそうに思える。こんな物があれば実に楽しく、応用の広い発明品である。小物品に限らず、建築も場所性に規定されずポータブルで床壁屋根一体の風呂敷のように包み込む、一枚の自由自在の折りたたみ式が可能なものになるだろう。

木 村 博 昭
(建築家・神戸芸術工科大学教授)




審査講評

審査委員長
鈴 木  胖
(摂南大学教授・大阪大学名誉教授・住宅電気利用技術懇話会会長)

前回と同様「電化による快適性を追求した住まいづくり」というテーマで、住まいの設計部門(プロの設計者を対象)と住まいのアイデア部門(学生や建築家、インテリアデザイナー等を目指している人たちを対象)に分けて作品の募集が行われた。それぞれ19名(21作品)、8名(8作品)の応募があった。審査は委員の先生方がご多忙なため、年の暮れも迫った日曜日の12月19日に行われた。審査は、まず先生方が個々に作品を調べてこれと思う候補を選び、それらを持ち寄って全員で逐一検討・評価し順位付けをするというやり方で行われた。入賞作品は先生方の講評付きで以下に示されている。住まいの設計部門については前回より応募が少なかったが、各賞に値する作品を選定することが出来た。住まいのアイデア部門については応募作品が極端に少なかったこともあって最優秀賞に該当するものは見出せなかった。回を重ねコンテストの知名度を高めるとともに、広く作品を募るための工夫が必要であると感じている。


審査委員
東  孝 光
(建築家・千葉工業大学教授・大阪大学名誉教授)

住まいは個人と家族の暮らしの原点であり、省資源、省エネルギー、地球環境への配慮など、エネルギー利用の総合的な視点といっても、そこで出来ることにはおのずから限界がある。だからこそ、出発点として、個々の試みが、よりよい社会環境の形成へとつながるような、拡がりのある視点を期待している。今年も設計部門では単に電気利用の項目の多さではなく、できるだけ総合的な視点につながる作品を期待した。またアイデア部門でも、実現の可能性もさることながら、未来に向けて拡がりのある視点に注意した。多くの優れた作品が選ばれたことを喜びたい。


審査委員
北浦 かほる
(大阪市立大学教授・居住空間デザイン画学)

電気の利便性をフルに活用するとともに、太陽熱や自然の光、風の利用など環境共生を配慮した住まいや高齢化に向けての対応などが提案され大変有意義であった。しかし欲を言えば、設備としての電気の活用の域にとどまらず、21世紀に向けての新たな視点からの豊かな生活スタイルや住まい方なども提案して欲しかった。電飾による生活文化、コンピューターによる家財管理、ガーデニング、食文化、ゴミ処理など多面的な電気の利用による生活の充実や楽しみ方をさらに追求してもらいたい。アイデア部門の応募が少なかったのは残念で、若い人たちの感性を生かしたより斬新な作品を今後期待したい。


審査委員
吉村  篤一
(建築家・奈良女子大学教授)

このコンテストはその性格上どうしても電化製品をどれだけ設計に組み入れるか、ということにポイントが向けられがちであるが、これは必要条件かもしれないが十分条件ではない。現在では電気はあって当り前という感覚になっているが、電気を使用することにより魅力的な生活空間になるというアイディア、例えば魅力ある照明計画なども提案のひとつに加えてもよいのではないかと思う。電化・空間構成・デザインの三拍子そろった提案を期待したい。


審査委員
木村 博昭
(建築家・神戸芸術工科大学教授)

今回の審査での印象は、電気=エネルギーの現実的メリットを追求した作品が多かったと思いました。当然、環境への配慮やエネルギーの有効利用は、時代的課題ですが、決して電気=エネルギーと単純に結びつかないでしょう。かつて、パリ博のエッフェル塔が電飾で夜空に輝いた時、電気の光は、人々に感動と20世紀の未来に夢を与えたに違いありません。そうした電気による可能性と感性に響く作品をこのコンテストに期待したいと思います。

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